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食品または料理を提供するということに留まれば、それは財の提供です。
ですが、そこに消費者が食事をするという行為が伴います。
この食事環境や雰囲気そして従業員の接客は財ではなく、サービスです。
つまり、外食産業が消費者に提供しているのは財だけでもなく、サービスだけでもなく、まさしく財とサービスを一体のものとして提供しているのです。
 外食産業を英訳すると吻O乱service I乱ustryですが、この場合了乱とServiceがa乱で結ばれるのではなく、『O乱serviceと一つの単語で表現されていることが重要です。
 改めて確認しますと、外食産業を論ずるには、財=料理(メニュー)の面からだけでは不十外食産業とは分で、サービス=店装、雰囲気、従業員の接客といった面も考慮されなければなりません。
もう少し突っ込んでいうと、ある料理にはそれにふさわしい提供の仕方とサービスとが伴わなければならないということです。
 A 製造業との共通点 ところで、外食産業が提供する財の部分に注目してみますと、これが流通業での財の提供の仕方よりも製造業での財の提供の仕方に近いといえます。
流通業の基本は自ら財をつくりだすことではありません。
有用な財を新たにつくりだす事業は製造業です。
 製造業は、生産装置(工場)を構え、原料を仕入れて、これを生産装置のなかで加工して、原料とは異なった財=製品をつくり、これを販売します。
 外食店舗で営まれていることは、まさしく製造業と同じことです。
外食店舗、なかんずく客席部と区分される厨房は、製造業でいう工場そのものです。
外食店舗に納品される食材は製造業でいう原料です、そして製造業でいう製品が料理です。
 外食店舗あるいはその厨房は、規模とかスタイルは異なるかもしれませんがれっきとした工場、食品工場だと認識しなければなりません。
 外食産業が、流通業よりも製造業に近いというと意外に思われる方も多いと思いますが、産業構造論(産業としての特徴を論ずる)としての考察ではそうなのです。
そして、この認識をもつことで外食産業がイノベーションを実現して成長していく要因をよくつかむことができるはずです。
 B 小売業との共通点              ` しかし、別の観点(産業配置論)からは流通業なかんずく小売業との類似点も多くあります。
次に、この流通業(とくに小売業)と外食産業の相違点をみてみましょう。
 小売業も外食産業も、最終的な消費者(エンドユーザー)を対象として事業をしている点で共通しています。
いくつかの例外業種は別として、一般に小売業も外食産業も消費者の近く(生活圏)に店舗を構えて消費者の来店を待ちます。
消費者は小売店舗に赴き有用な財を買い求めますが、一度に大量・多額の買い物をすることは希で、通常は少量・少額の買い物で、頻度高く小売店舗を利用します。
外食産業も、消費者は自分の胃袋のサイズ以上の食事は物理的に不可能ですから、少量・少額・高頻度で店舗を利用するという特徴は小売業以上です。
 これらの事業特性から、小売業と外食産業の類似点が次の二点指摘できます。
外食産業とは 第一点は、消費者の近くといっても具体的にどこに店舗を構えるべきかという立地問題が営業上大きな課題となることです。
しばしば小売業も外食産業も、立地産業(立地の適否が事業成否のカギとなるという意味)だといわれます。
 第二点は、小売業も外食産業も、全体としては比較的小規模な店舗が膨大数全国に分散して所在するという配置となることです。
実際小売業を営む店舗は全国に百六十万店程、外食産業の構成単位としての飲食店数は八十五万店程あります(総務庁「事業所統計」調査、九一年)。
前者は人口七十九人に一店、後者は人口百四十八人に一店という割合になります。
 こうした事業特性から、しばしば小売業と外食産業とが類似の産業とみなされる要因となっています。
 ところで、生物学の用語に「相似」と「相同」があります。
「相似」とは、発生やつくりは違っていても外観の等しい器官のことで、例えば昆虫の羽とコウモリの羽は相似だといいます。
のっぽさは相同です。
 この用語を借りれば、小売業と外食産業、小売店舗と外食店舗は相似で、製造業と外食産業、工場と店舗(厨房)は相同だといえます。
 私は、これまで流通業界から外食産業へ参入してうまく成果を上げられなかった例を多数みてきました。
そして、その当事者・関係者が、相似であることを相同と勘違いして事に臨んでいたのが、失敗した大きな要因ではなかったかと思っています。
 求@製造小売 ところで、小売業のなかにも「製造小売」という変わり種?がありますので、最後にこれについて簡単に触れておきましょう。
 製造小売とは、具体的にはインストアベーカリーや持ち帰り弁当店などがそうです。
これらの店は外食店舗と相似で相同です。
実際、客席部を付帯してそこで焼き立てのパンや作り立ての弁当を食べる人が多くなれば、これは小売店の範躊ではなく外食店の範躊です。
 ベーカリーはともかく、持ち帰り弁当店のようにI食まるごと商品として提供している製造小売店は、社会的にもしばしば外食産業の一業種とみなされています。
これら「製造小売」店は、産業構造論的には流通業よりも、外食産業により近い特徴をもっていると位置づけるべきでしょう。
外食産業とは ここでは、外食産業に直接に関係する行政や団体、研究機関、専門誌紙などについてまとめて紹介しておきます。
 巾 行政 日本で外食産業を所管する官庁は農林水産省です。
農林水産省には外食産業室という専門の部署があり、情報の収集や業界組織の連絡、食材産地の育成など幅広く振興策を企てています。
また、各地の農政局では、地域ごとに外食産業事業者の交流会や農業生産者との交換会などを開催することもあります。
毎年国会に報告される「農業白書」にも必ず外食産業の動向が(食品産業の一分野としてですが)記載されています。
 実際に外食店を開業するときには、食品衛生法などに基づいて各都道府県知事の許可(営業許可)が必要です。
したがって、すべての外食店は営業開始前に当該地区の保健所に届け出なければなりません。
また、公衆衛生の観点から、食品衛生監視員(保健所の職員が一般的)の表1-4 外食産業関係団体 訪日本フードサービス協会 訪日本ハンバーグ・ハンバーガー協会 訪国際観光日本レストラン協会 訪日本麺類業団体連合会 財全国環境衛生指導センター 肋日本給食サービス協会 囲日本メディカル給食協会 肋日本弁当サービス協会関係団体など咄日本フランチャイズチェーン協会肋日本惣菜協会肋日本厨房工業会肋日本外食品卸協会 フードシステム総合研究所 聊余暇開発センター 食空間と生活文化ラウンドテーブル(TALK)巡回監視があります。
これらは厚生行政の一環ですが、厚生省にはとくに外食産業を専門とする部署はありません。
 A 業界団体 次に業界団体および関連団体をみていきます(表―−4)。
 大手・中堅外食企業が最も多数参加している団体は兼本フードサービス協会(略称JF、シェフ)です。
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